プロヴァンス滞在記
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32.共同洗濯場
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プロヴァンスの古い街を歩くと必ず目にする共同洗濯場の跡。
もう水が止められて空になっているのもあれば、昨日まで使われていたかのような、きれいで水をいっぱいたたえたものもある。
いかにもヨーロッパ的な雰囲気を感じさせる空間だ。
これらは一体いつ頃まで使われていたのだろうか?
意外に思われがちだが、ヨーロッパでは電化製品の普及は日本よりはだいぶ遅い。
それどころか、電気・水道の普及も案外遅かったりする。
手元に古いスペインの写真集がある。 1960年代後半の写真なのだが、主婦たちが川に集まって洗濯をしている風景がある。
きっとそんなものなのだろう。
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ラコスト(Lacoste)で。
ここの共同洗濯場跡はまだ水も流れていて
きれいに管理もされている。
まるで昨日まで使われていたかのような雰囲気だ。
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レ・ボー(Les Baux)の共同洗濯場跡。
もう水も止まっている。
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アパート(ジト)の手配でボニューのツーリストインフォーメーションに行った際に、ついでに、そのあたりを聞いてみた。
受付の女性は20代前半ぐらいの年齢でボニュー育ち。 彼女が小さい頃はまだ共同洗濯場を利用していた人がちらほらいたそうだ。
ということは、20年ぐらい前はまだ現役だったということか。
20年前といえば、私は高校生位の頃。日本では洗濯機のない家庭はほぼなかったし・・・、それどころかコインランドリーもそこら中にあったし・・・。
やっぱり意外ではある。
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ところで、南仏の山の中腹や丘の上にある街は水をどうやって得ているのか?
日本では大きな川や湖から引いた水を浄水場で浄化して水道に送るが、南仏では浄水場をあまり見かけないし、遠い山の上の村に送るのも難しいだろう。
山にも川はあるがえてして水量は少なく、枯れていることも多く、とても各村でふんだんに使われている量に見合うとは思えない。
昔は村の上などに井戸がありそこから水を得ていたそうで、ボニューでも上の教会の裏に井戸があったそうだが・・・。
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ペイユ(Peille)で。
街中の小さな広場にある泉。洗濯場も兼ねた構造だ。
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ミュール峠(Col de Murs)で。
このような水源は、気をつけて探せば
至る所で発見できる。
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答えは・・・。
山の上や峠、中腹などいろいろな所に雨水を集める貯水タンクがありそれを水源にしている。
ちょっと気をつけて山中をハイキング・ドライブすると、至る所にこの貯水タンクを見つけることが出来、上に番号もついている。
それぞれはそんなに大きくないのだがたくさんあるので小さな村での消費をまかなうには十分なのだろう。
もちろん、通常の場所にある街は(エクサンやマルセイユなど)運河から引いた水を利用している。
( 2002/07/16 作成 )
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